空き家を相続したら住むべきか?売るどっちが得か専門家が解説
親から家を相続したものの、空き家のままにしておくか、思い切って売るかで迷っていませんか。
そのまま住めば住居費を抑えられる一方で、リフォーム費用や通勤時間の変化など、生活全体を見直す必要があります。
反対に売る場合は、まとまった資金を得られる可能性があるものの、思い出の詰まった実家を手放す後ろめたさや、税金の不安もつきものです。
このように、空き家を相続した後の選択は、お金と気持ちの両面を整理しなければ判断が難しいテーマです。
本記事では、住むか売るかどっちが得かという疑問に、将来の暮らしや家族の事情も踏まえて順序立てて考えられるよう、具体的なポイントをわかりやすく解説していきます
空き家を相続したときに選べる4つの基本パターン
親から空き家を相続すると、「住む」「売る」「貸す」「維持する」という4つの選択肢が考えられます。
「住む」は自分や家族の住まいとして活用する方法で、「売る」は資産を現金化して相続税や今後の生活費に充てやすい点が特徴です。
「貸す」は賃料収入を得ながら将来の利用可能性を残す方法であり、「維持する」は当面活用せずに管理と保有を続ける形です。
総務省の調査では全国の空き家率は約13%台とされ、相続を機にこうした選択を迫られる世帯が増えていることがうかがえます。
一方で、親から相続した住まいには、単なる資産以上の思い出が詰まっている場合が多く、「売る」と決めきれない心理的な負担が生じやすいです。
遠方に暮らしていると、たびたび様子を見に行けず、郵便物の管理や庭木の手入れ、防犯面の不安など、生活面の負担も積み重なります。
判断を先送りして長く放置された空き家は老朽化が進み、資産価値が下がるだけでなく、近隣への危険や景観悪化を招くおそれがあります。
国土交通省も、適切な管理がなされていない空き家は特定空家に指定され、行政から指導や勧告を受ける可能性があるとし、早めの対応を呼びかけています。
こうした中で、「住むか」「売るか」で迷っている方は、まず自分と家族の状況を整理することが重要です。
具体的には、現在の居住地との距離や通勤通学の利便性、将来の転勤や転居の可能性、子どもの独立時期などを踏まえた生活設計を確認します。
あわせて、相続した家を誰が主に利用するのか、誰が管理の中心になるのか、相続人同士で役割分担や費用負担の考え方を話し合っておくことも欠かせません。
そのうえで、後述する税負担や維持管理コストと合わせて比較検討すると、自分たちにとって無理のない選択肢が見えやすくなります。
空き家に住む場合のメリット・デメリットと注意点
相続した実家に自ら住む選択をすると、新たに賃貸住宅を借りる家賃が不要になり、長期的には住居費を大きく抑えられる可能性があります。
また、慣れ親しんだ地域であれば、生活環境の変化が少なく、近隣とのつながりを保ちやすい点も利点です。
さらに、空き家のまま放置すると老朽化が進みやすく、国や自治体が進める空き家対策の対象となるおそれがありますが、実際に居住することでこうしたリスクを下げられます。
総務省の住宅・土地統計調査でも、空き家数の増加が指摘されており、早めに利用方法を決めることが重要とされています。
一方で、相続した実家に住むためには、建物の劣化状況に応じた修繕や水回り、断熱性能などの改修が必要になる場合が多く、まとまったリフォーム費用が発生する可能性があります。
また、現在の勤務先や子どもの学校との距離が離れていると、通勤・通学時間や交通費が増え、生活の負担が大きくなることも考えられます。
さらに、人口減少や住宅の供給過多が続く中で、築年数が古い住宅は将来的に資産価値が下がりやすい傾向があり、将来売却を検討する場合に価格面で不利になるおそれがあります。
このため、住み替えによる家計への影響と、長期的な資産価値の見通しを合わせて検討することが大切です。
さらに、相続した家に住み続ける場合でも、毎年の固定資産税や都市計画税は発生し、建物や設備の点検・修繕といった維持管理費も欠かせません。
耐震性や老朽化の程度によっては、安全に住み続けるために耐震改修や大規模な補修が必要になる場合もあります。
このように、税負担と管理コスト、安全性の観点を事前に確認したうえで、「住む」という選択が自分たちの生活設計に合うかどうかを見極めることが重要です。
相続した空き家を売る場合の損得と税金のポイント
相続した空き家を売却すると、まとまった現金を得られることが大きな利点です。
得た資金は、住み替え費用や教育資金、老後資金など、今後の生活設計に柔軟に活用できます。
また、所有している限り発生する固定資産税や、草木の手入れ・通風など日常の管理負担から解放される効果も見逃せません。
このように、早めに売却して資産を現金に変えることで、空き家を抱え続ける不安を減らしやすくなります。
一方で、空き家を売却すると譲渡所得が生じる場合があり、その利益には所得税と住民税が課税されます。
相続した不動産の取得費は、被相続人が購入したときの金額や、相続税が発生していればその一部を加算した額を基準に計算されます。
売却価格から取得費や仲介手数料などの諸費用を差し引いた金額がプラスであれば、原則として譲渡所得として申告が必要です。
また、一定の要件を満たす場合には、被相続人の居住用であった空き家を売却したときの特例として、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。
ただし、この特例は、相続開始から一定期間内に耐震基準を満たす状態で売却することや、相続の時点で被相続人が1人で居住していたことなど、細かな条件があります。
また、売るタイミングによっては建物の老朽化が進み、建物部分の価値が下がって土地値に近い価格になることも多くなります。
周辺の需給動向や将来の人口動態によっては、時間の経過とともに需要が弱まり、売却価格の下落や売却期間の長期化につながるおそれもあります。
こうした点を踏まえ、「いつまでに、どの水準で売れればよいか」を家族で共有し、残す場合の維持費との比較を行うことが大切です。
親から相続した空き家は住むか売るかを整理する判断フロー
まずは、相続した空き家に今後自分や家族が住む可能性を冷静に整理することが大切です。
現在の勤務先や通勤時間、子どもの通学環境、将来の転勤や転職の可能性など、中長期の生活設計を具体的に思い描いてみてください。
あわせて、住宅ローン残高や預貯金、今後の教育費などの資金計画を確認し、相続した空き家に住むために必要な修繕費やリフォーム費をどこまで負担できるかを把握することが重要です。
これらを家族と共有し、「誰が」「いつ頃から」「どのくらいの期間」住む見込みがあるのか、簡単なメモにまとめておくと判断しやすくなります。
次に、空き家を所有し続けた場合の管理負担と、売却した場合の効果を比較して検討します。
総務省の住宅・土地統計調査では、全国の空き家数が増加傾向にあり、管理が行き届かない空き家が地域の防災や治安の面で課題となっていることが示されています。
また、国土交通省の資料によると、外壁の破損や倒壊のおそれがある空き家などは、自治体から特定空家等に該当すると判断される場合があり、固定資産税の住宅用地特例が適用除外となるおそれがあるため注意が必要です。
草木の繁茂や雨漏り、害虫被害など、遠方からの管理が難しい場合には、早い段階で売却も選択肢に入れて検討することが望ましいです。
それでも「住むべきか売るべきか」が決めきれない場合は、早めに専門家へ相談することが有効です。
相談の前には、相続した空き家の登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、建築年や増改築の履歴、相続人全員の意向などを整理しておくと、現状把握と提案がスムーズになります。
あわせて、今後の居住希望時期や予算の上限、売却を検討する際のおおまかな希望時期など、自分なりの希望条件も紙に書き出しておくと良いでしょう。
このように情報を整理したうえで相談することで、自分たちだけでは見落としがちな税務面や将来の維持管理費まで踏まえた提案を受けやすくなります。
まとめ
親から相続した空き家は、「住む」「売る」「貸す」「維持する」で損得が大きく変わります。
感情だけで判断すると、固定資産税や管理負担、老朽化リスクで思わぬ損をすることもあります。
一方で、売却すれば現金化や管理負担の軽減、税制特例の活用などのメリットも期待できます。
家族の今後の暮らし方や資金計画を整理したうえで、「住む」「売る」の判断フローを1つずつ確認しましょう。
迷われたときは、当社が状況を丁寧にお伺いし、最適な選択肢を一緒に考えます。
まずは小さな疑問からでも、お気軽にご相談ください。